留学やワーホリの行先として大人気のオーストラリアですが、オーストラリアで使われる英語を実際に聞いたことはありますか？日本の英語教育では一般的にアメリカ英語が使われることが多く、オーストラリア英語よりもアメリカ英語の方が耳慣れているという方も多いのではないでしょうか。そんな日本人にとっては、オーストラリア英語は慣れていないこともあり、少し聞き取りづらいと感じる人が少なくないようです。また、英語教育で触れてきたアメリカ英語とは全く違う単語や表現、発音などに出会って、戸惑うケースもあるでしょう。
今回は、オーストラリア英語ならではの発音や特徴、表現方法などを紹介していきます。
言語と歴史は表裏一体。オーストラリア英語が誕生した背景を知ると、ますますオーストラリア英語への関心が湧いてくるのではないでしょうか。
【オーストラリア英語とは】
オーストラリアの公用語は英語です。そして、オーストラリア英語は、イギリスから植民地支配を受けていた歴史が大きく影響を受けています。オーストラリアには1700年代にイギリス人の探検家に発見されるまで、アボリジニという先住民が暮らしていました。しかし、イギリス人に発見されて以降、多くのイギリス人が上陸し、植民地支配が開始。それまではアボリジニ独自の言語が使われていましたが、イギリス人の入植以降はイギリス英語やアイルランド英語がオーストラリアに根付いたと言われています。
一方で、アボリジニの言語の影響も一部残っており、オーストラリア英語独自の語彙も多く誕生してきました。また、移民国家でもあり、多様な国の人たちを受け入れてきたのがオーストラリア。イギリス英語を基調としつつも、アボリジニの言語の影響を受け、さらには様々な国の人たちが使う表現や発音も相まって、現在のオーストラリア英語が誕生したのです。
【オーストラリア英語の特徴は？アメリカ英語との違いは？】
世界で広く話されている英語ですが、その中でもオーストラリア英語にはいくつかの特徴があります。イギリス英語ともアメリカ英語とも違う、オーストラリア英語。その特徴は主に発音と表現方法だと言われています。オーストラリア英語の発音は非常に独特で、特にアメリカ英語を聞きなれた日本人にとっては少し聞き取りにくい印象があるかもしれません。ではアメリカ英語とどのように違うのでしょうか。
<特徴1：発音>
まずは発音です。例えば、アメリカ英語では「r」の発音は巻き舌で音を出しますが、オーストラリア英語では「r」の音は消失します。また、アメリカ英語では「a」の発音を「ei(エイ)」としますが、オーストラリア英語では「ai(アイ)」という音になります。このほかにも、アメリカ英語では「ca」を「キャ」と発音するのに対し、オーストラリア英語では「カ」、母音と母音の間の「t」をアメリカ英語では「d」や「r」に置き換わることが多いですが、オーストラリア英語ではそのまま「t」として発音します。
<特徴2：単語と表現>
発音以外には、使われる単語や表現もアメリカ英語とは異なります。これについては後程詳細に紹介します。
<特徴3：イントネーション>
意外と知られていないのがイントネーションの違いです。肯定文の場合、日本語同様、アメリカ英語では文末のイントネーションを下げることで、文の終わりを意味します。しかし、オーストラリア英語では肯定文・疑問文を問わず、文末のイントネーションを下げずに、語尾を上げたまま終わるのが特徴です。
<特徴4：短縮形>
また、短縮形が多いのもオーストラリア英語の特徴と言えるでしょう。短縮形の一例として、「Thank you」が「Ta(タ)」になったり、あいさつに使われる「Good Day」が「G Day(グッダイ)」、午後を意味する「afternoon」が「arvo(アルヴォ)」になるなど、中には短縮されすぎて、慣れるまでは意味が理解できない場合もあるかもしれません。
【イギリス英語との類似点】
オーストラリア英語はイギリス英語にルーツがあり、似ている点も数多くあります。
<似ている点1：発音>
上述したように、アメリカ英語とは違い、イギリス英語にもオーストラリア英語にも「r」の発音がないなど、発音が似ています。
<似ている点2：単語>
また、使われる単語もイギリス英語の影響を大きく受けており、オーストラリア英語とイギリス英語では共通の単語を使用することが多いようです。一例として、ガソリンスタンドを意味する単語をアメリカ英語では「gas station」と表現するのに対し、オーストラリア英語やイギリス英語では「petrol station」が広く使われています。
<似ている点3：スペル>
ほかにもスペル方法の違いがあります。単語同様、スペルもイギリス英語の影響から、アメリカ英語よりもイギリス英語と同じものが多いのが特徴です。単語の最後が-orより-our、-erより-re、-ize より-ise、そして-enseよりも-enceが使われています。例えば、色を意味する単語の場合、アメリカ英語では「color」になりますが、オーストラリア英語とイギリス英語では「colour」、「theater」は「theatre」、「organize」は「organise」、「license」は「licence」となります。
<似ている点4：表現>
このほかにも、表現方法も似ています。例えば、イギリス英語とオーストラリア英語では「take」より「have」が使われる傾向にあり、アメリカ英語で使われる「take a break(休憩する)」は「have a break(休憩する)」と表現されます。
【オーストラリア英語の発音の特徴とは？習得のコツ】
<発音の特徴1：「r」>
オーストラリア英語の発音の特徴として、まずは「r」の発音の有無が挙げられます。オーストラリア英語では単語に「r」の音が入っていたとしても、発音をしないことが多くあります。一例として、「hard」という単語は日本語の「ハー」に似た発音になり、「doctor」は「ドクタ」に似たような音で聞こえます。このほかにも、「water」は「ウォタ」、「nature」は「ネイチャ」に近いような音で聞こえるでしょう。
<発音の特徴2：「a」>
また、「a」の音にも特徴があります。オーストラリア英語では、多くの場合、「ア」「アイ」と発音されます。例えば「today」は「トゥデイ」よりも、「トゥダイ」と聞こえるでしょう。
<オーストラリア英語に慣れるコツ1: 発音の特徴を理解しよう>
少し聞き取りにくく、発音し慣れていないオーストラリア英語ですが、慣れるためのコツもあります。まずは、上述の発音の特徴をよく理解することです。どの音が消えていて、どんな音に近くなるのかを覚えておきましょう。
<オーストラリア英語に慣れるコツ2: 短縮形とリンキングを理解しよう>
また、オーストラリア英語は単語が省略されやすいので、どのような場合に短縮されるのかを事前に知っておくとよいでしょう。さらには、「リンキング」を理解するのも重要です。例えば、「they’ll」は「ザイル」ではなく、「ザイル」となります。こういったオーストラリア英語に見られる特徴がわかるだけでも学習効果が深まるでしょう。
【単語はどう違う？アメリカ英語とオーストラリア英語】
同じ定義の単語でも、アメリカ英語とオーストラリア英語では使う単語が異なります。以下にいくつか紹介していきます。
みなさんはどちらのほうが使い慣れていますか？似ているものから全く違うものまで、同じ英語なのに知れば知るほど不思議な感覚になりますね。
ここに紹介したもの以外にも、同じ意味を表すのに異なる単語を使うものは数多くあります。ほかにもどのような単語があるのかを探してみるのも面白いかもしれませんね。
【初めて見るものも多い！？オーストラリア英語のスラング】
英語学習では必須ともいわれるのがスラングを覚えることです。特にオーストラリア英語では単語を省略したり、まったく違う表現になっていたりするので、最初は戸惑うかもしれません。以下にいくつか紹介しますが、アメリカ英語では知っていても、オーストラリア英語のスラングなると見たこともないものもあるのではないでしょうか。
このほかにも、No worries（大丈夫だよ）、Good on you（よくやった）、It’s my shout（私のおごり）、とても簡単（easy peasy）などがあります。日常会話でも頻繁に使用されるのがスラングです。覚えておくと現地での生活がスムーズになるでしょう。
【オーストラリア英語を学びたい人必見！おすすめサイト紹介】
英語学習の秘訣は何といってもその国で話されている英語に少しでも多く触れること。とはいえ、学習教材だけでは興味を持てず、モチベーションの維持が難しいところです。そこで、おすすめのYouTubeサイトを紹介していきます。特にオーストラリア英語を学びたい人は是非活用してみてください！
<おすすめYouTube2選>
①mmmEnglish
オーストラリア英語に特化したEmmaのYouTubeサイト。200以上の動画がアップされています。語彙の増加、自然な発音や正確な文法スキルの習得等を通じて、世界中の生徒が英語を話せるようになることを目指しています。特にオーストラリア英語の発音やスラングを学びたい人にはぴったりのサイトと言えます。難解な単語は使っていないことから、オーストラリア英語に初めて触れる方も楽しく学べるサイトです。また、オーストラリアの文化も紹介されていて、これからオーストラリアに住む人にも役立つサイトです。
②Wengie(ウィンジー)
チャンネル登録者数1380万人を誇る移民２世のオーストラリア人YouTuber。シンプルなライフハックやDIY、ダイエットなど、多岐にわたるトピックをカバーする人気サイトです。生活をシンプルに、よりよいものにするために役立つものを動画にしています。メイクアップ動画も多数アップしていて、中には日本のコスメを紹介したり、日本に関わる動画もあり、オーストラリア英語を楽しく学習するにはおすすめのサイトです。
<おすすめ学習サイト3選>
YouTubeのほかにもオーストラリア英語の学習に役立つツールが数多くあります。ここではその中からいくつか紹介します。
①edX
無料で海外の大学のオンラインコースが受講できるサイトです。オーストラリアはもちろん、英語圏の大学が多数登録されていて、自分が希望するコースを自在に選択できます。オンラインコースは動画で視聴できるため、自分のスケジュールに合わせて受講できるのも魅力的です。オーストラリアの大学を選択し、オーストラリア英語をじかに聞くことで、段々と聞き慣れていくでしょう。ほかのオンラインコースとは違い、リーディングできるボリュームも多く、リーディングを強化したい人にはぴったりのサイトです。
②ABC Podcasts（PodCast）
オーストラリアのラジオ局「ABC」が運営するABC Podcastsは、リスニングの練習にぴったりのツールです。ABC Podcastsの特徴として、コンテンツの豊富さがあります。英語学習をしていくとわからない単語に出会うもの。それでも自分が関心のあるトピックだと、飽きずに学習を継続できますよね。ABC Podcastsは子供向けやスポーツはもちろん、科学や哲学などほかのPodcastsにはないコンテンツが多数そろっていて、楽しみながら学ぶことができます。また、ABC Podcastsにはスクリプトがついているのが特徴です。聞き漏れた内容や何度聞いても理解できなかったフレーズを確認することで、リスニング力の向上が期待できます。
③９News Australia
オーストラリア国内外のニュースを取り上げています。ニュースは政治、ビジネス、文化など多様なトピックから選べる一方で、上級者向けともいえます。現地の人が話す自然な英語に触れることができるのもニュースサイトの良いところ。はじめは難しいかもしれませんが、毎日聴き続ければオーストラリア英語を身近に感じることができるでしょう。
【まとめ】
日本人の多くはアメリカ英語で英語学習をスタートしたこともあり、オーストラリア英語は聞き取りにくいと苦手意識を持つ人も多いかもしれません。しかし、オーストラリア英語も含めて、特定の英語を習得できるようになるにはできる限りたくさん英語に触れていく必要があります。その英語の特徴を知り、インプットとアウトプットを積み重ねていくことで、確実に学習効果が出てきます。オンラインには無料で視聴できる教材も多数ありますので、それらも活用しつつ、楽しく英語学習を進めていけるといいですね。
